外壁はつねに紫外線や雨風にさらされているため、ある程度の年月が経つと塗装が剥がれてきたり、ひび割れ(クラック)が起こったりします。
ひび割れの深さによって、メンテナンスの重要度が異なります。
放置してひび割れから構造部分まで水が浸水してしまうと、建物内部にまで影響を及ぼし、補修費用が数倍にも膨れ上がる可能性があります。
そうならない為にも、ひび割れの原因や放置するリスクなどを紹介していきたいと思います。
ひび割れの種類
外壁のひび割れは、大きく分けてヘアークラック(浅いひび割れ)とクラック(深いひび割れ)の２種類があります。
ヘアークラック(浅いひび割れ)
ヘアークラックは外壁材のひび割れではなく、外壁の表面に塗られている塗料が経年劣化で硬化してひび割れを起こしている現象です。
主にモルタル外壁やサイディングなどの外壁塗装がされている外壁材に発生します。
早急に補修を行う必要はありませんが、外壁塗装を検討する目安となる劣化症状になります。
クラック(深いひび割れ)
外壁材自体にダメージがあるひび割れで、このようなクラックを放置してしまうと雨漏の原因となったり、外壁がごっそりと剥がれ落ちてしまう危険もあるために危険度が高いです。
ひび割れの原因
外壁のひび割れが起こる原因はいくつかの要因が絡んでいるので、種類を理解しておくと、劣化の進行具合の把握につながります。
乾燥クラック ― 外部の乾燥によるひび割れ
外壁に使用されル素材によってひび割れの原因は異なります。
| 窯業系のサイディング | ・タイル調や木目調などバリエーションが豊富 ・コストパフォーマンスに優れている ・日本で今最も多く使用されている外壁 |
年数が経ってくると、塗膜が剥がれ防水機能が低下しサイディング自体が水を含む。 そして乾燥と吸水で収縮、膨張を繰り返えす。 それが度重なる事によりひび割れる。 |
| モルタル仕上げ | 耐久性が高く、塗膜が維持できている状態では耐用年数も長い | 経年劣化による表面塗料の乾燥でひび割れ |
| タイル | ・耐水性、耐火性、耐久性に優れた素材 ・変形や割れやカビ・コケが生じにくくなるため、非常に耐久性が高い |
経年劣化によるタイル自体の劣化・ひび割れ ・剥離 |
| モルタルやコンクリートなどの湿式工法 | ・材料の種類や調合によって、さまざまな風合いが出せる ・天然素材にこだわりたい方には最適 |
モルタルやコンクリートが完全に乾燥をする前に塗装をしてしまうことでひび割れが発生 |
乾燥クラックのひび割れは拡大することは無いので、外壁塗装の際に、微弾性塗料(伸縮性のある塗料)で下塗りをすれば簡単に補修することができます。
構造クラック – 構造躯体からのひび割れ
構造クラックは、地震や地盤沈下などの大きな外的圧力によって発生するクラックです。
主に幅が0.3mm以上、深さが5mm以上のクラックを総称して構造クラックと呼ばれています。
3mm以上の巾でひび割れが起こっているのなら、構造躯体の歪みが考えられますので、雨水が内部にまで侵入している恐れがあります。
放置をするとひび割れの幅が広く、深くなり、最終的には雨漏りや外壁がごっそりと剥がれてしまうようになるので、早急に補修をしなければいけません。
縁切れクラック
外壁作業の方法に問題があった時に発生するクラックです。
湿式工法の外壁は一度に一面を仕上げますが、作業を途中で中断したりやり直しをするなどして、時間的に差が生じる部分があると、劣化してひび割れが発生してしまいます。
開口部まわりのひび割れ
建物の自重や地震の揺れなどで開口部に歪みが生じ、窓や玄関ドアなどの開口部の隅斜めに入るひび割れ
雨が吹き降ったときなど、室内に雨漏れが起こりやすくなります。
放置するリスク
コーキングのひび割れ放置
コーキングは外壁のタイルの目地部分に充填されている柔らかく弾性のあるゴムのような部分のことを言います。
このコーキングも防水効果が薄れてくると乾燥でひび割れを起こしてしまいます。
このひび割れを放置してしまうと、目地の部分から内部に雨水が浸入し、酷くなると部屋内まで水染みがでてきてしまいます。
サイディングのひび割れ放置
ひび割れを放置することで、雨水がサイディングの下地まで染み込み、酷い場合は部屋内部への雨漏れを引き起こします。
内部にまで水がこなくても、ひび割れを起こしている箇所の水の浸入を防ぐことはできませんので、下地材が湿気を帯び、カビや腐食の原因になったりします。
また、水の浸入によりサイディングの下地が湿気を帯びていると、部屋内のクロスが波打ってきたり、剥がれてきたりして補修の範囲がどんどん広がることに繋がり、サイディング自体を取り替えなければならなくなります。
モルタルのひび割れ放置
モルタル仕上げの場合は下地にラスという金網のようなものがあるので、ひび割れから水が浸入し、金網に酸化現象が起こりモルタルの接着が悪くなり、ポロポロと外壁のモルタルが落ちたりします。
最後に
外壁にひび割れが起こり、それを放置してしまうとひび割れはどんどん酷くなり、内部にまで影響がでてしまいます。大雨が降った時など水の浸入が激しくなり、いずれは内部にまで染みわたってくるでしょう。
補修にはひび割れの大きさや深さ、施工箇所によって工事の内容も実際の施工価格も異なりますが、どちらにしても早期補修をすれば工事規模も少なく、価格も安くなります。
0.3mm以下のひび割れであれば、外壁塗装でも十分にメンテナンスをすることができますが、素人目では判断が難しいのが現実です。
調査自体は無料できるので、いろいろな専門業者に調査してもらいましょう。
